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リスクバジェッティングのためのVaR―理論と実践の橋渡し―

ニール・D・ピアソン/竹原均/三菱信託銀行受託財産運用部門 パンローリング

 相場のリターンには多数のシステム売買法が広く普及しているのに対し、肝心のリ スク管理の方法は2%ルールという原則の通り一遍。基本的に1つの市場、1つの商品 に対しての単純な場合は問題ないとしても、債権と商品先物、通貨やオプションなど と複数分散した場合はどうすればいいのだろうか。よくヘッジ、分散するべきだとい われるが、そのリスクをどう比較し、どう管理すればいいのだろう。2%をどう配分 すればいいのだろう。一個人投資家に過ぎない私にとって純粋な疑問であり、解決す べき基本的な課題だと考え、まずはファンドや機関投資家などはもちろん、稼いでい るプロは当然活用しているであろう手法なりシステムを流用すればいい、という単純 さから本書を読むに至った。結果、その目的以上の理論の存在を知り、現在実践に向 けて奮闘中である。

 私は”VaR”という言葉も”リスクバジェッティング”という言葉も意味も本書で 初めて知った。それほど金融業界に無知な私でも、本書が目的とするこれらの概念の 解説は理解できた。一見難しそうだとしても、数回読めば理論的なところは理解でき るように、読みやすく配慮された解説のおかげだと言えるだろう。VaRの特徴が「将 来のリスク量を予測する」という点から、まず越える事はあり得ない最大損失額がわ かり、各種金融商品に同等に適用でき、市場リスクを比較するのにも利用できるとの ことだ。リスク・バジェッティングを定義するのは難しいらしいが、VaRもリスク評 価尺度の1つとした統計的リスク尺度に基づき、伝統的な資産配分問題ではなく、リ スク配分問題として捉えるという考え方には素直に納得できた。

 これまでいろいろな書籍を読み、資金管理が最重要と言いながらも具体的に 数値化する方法に触れてくれていないことにストレスを感じていたが、本書を読んで その理由が分かった。リスクを測定・分解し、比較するというこのVaR手法が現在最 も一般的らしいが、未だ発展途上であり、実践に移すためには1個人では大変そう だ。だがサブタイトルに“理論と実践の橋渡し”とあるように、多数の数値事例と懇 切丁寧な解説によって、理論を実践するためのガイドラインという意識で書かれてお り、本気で実践を考えるための良いテキストとして、取組んでみようという気にさせ られる。最初は目が点になるような数式の羅列かもしれないが、資金管理だけ自分の 裁量に頼ろうとするよりは、よっぽど努力のし甲斐もあるというものだ。どんなに堅 牢な売買システムを持っていても資金管理が甘ければ足元を救われてしまうのではな いだろうか。自分が今どれくらいのリスクを取っているのかいないのか、ヘッジした 方がいいのか縮小した方がいいのか、そのベストヘッジは、ヘッジの効いていない ホットスポットはどこか、攻めるべきか守るべきかなどを、私は知っておきたい。最 後にこれらの理論には賛否両論あるようだが、売買手法と同じで自分で実践したうえ で判断したいと思う。そのためにも、ただ理論だけを解説されて使えなければ欲求不 満になるだろうが、本書に書かれた通りにテクニックをマスターし、資産運用プロセ スを数値化して管理できることを目指したい。


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