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これは単純な戦略であります。しかし、この戦略の収益率は、 ダウ平均やS&P500といった平均株価をこえる成績を上げ ることができます。要するに、インデックスファンドやETF よりも低コストで(個別株に投資したあとには信託報酬を払う 必要がありません)好成績が収められるのです。
さらにいえば、短期売買で、ブロのディーラーや(BNF氏のような)天才的な個人投機家とも勝負する必要はないのです。これほど楽にかつ高い確率で儲けられる方法が出ているとは!しかも、この本のアメリカでの初版は1990年にすでに出版されているのです。
ブルーチップであるダウ工業株30種の中から、えりすぐりの銘柄を毎年選定していくこの方法は、安全性、耐久性 においても高い水準を誇ります。だめだった例は、下がりっぱなしの銘柄でいえば、アスベストが問題となったマンビルとい う企業ぐらいでありました。
本の内容としては、第1部でダウ銘柄システムの紹介として、このダウの犬投資法の優位性について述べられています。次 に第2部で、GE、マクドナルド、ウォルト・ディズニー・カンパニーなどといった、具体的なダウ銘柄についての紹介があ ります。ここにさいているページ数が多いのですが、ダウ銘柄の歴史を知るうえでは役に立つと思います。第3部では、市場 とサイクルとして、1960年代から1990年代にかけてのアメリカの株式市場についての流れについて述べてあります。そして、 いよいよ第4部で、具体的なダウの犬投資法のやり方がのっています。 やり方は簡単ですが、これはアメリカでこそ成立する方法であると思います。イギリスや中国などでは成立しない方法でしょう。そこを注意する必要があります。
また、ダウの犬拡張方式として、利益予想が低い銘柄のポートフォリオや、株価純資産倍率の低い銘柄のポートフォリオなどと、ダウの犬投資法を比べています。さらにそれら(利益予想が低い戦略など6種類の戦略)を組み合わせた戦略と、ダウの犬投資法とは、どっちが優れているかといってことも書かれています。結果はけっこう興味深いものでした。
このダウの犬投資法の具体的な検索の仕方について、パンロー リングのHPにのっていますので、URLをのせておきます。 http://www.panrolling.com/books/wb/wb142.html
(bblue 30代 会社員)
本書はいわゆる「ダウの負け犬」という投資法について述べた内容となっている。
基本的に逆張りの投資スタンスであるが、その方法は基本的には単純なもので、 「ダウ30銘柄を配当利回りの高い順番に並べて上位5銘柄か10銘柄を買い、これ を毎年銘柄の入れ替えをして繰り返す」というもの。これでインデックスに勝てると いうわけ。株式投資において常時あてはまる必勝法などないと思うが、これは相当の 確度でインデックスには勝てそうである。本書の中ではその理由についても解説がな されている。
ダウ銘柄は、新興市場の「なんだかよくわからないけどもしかしたら暴騰するか も」銘柄とは違う。この「当たり前」銘柄の中で相対的に評価が低い銘柄に投資する ことは、実はリスクが低く高いリターンをもたらす可能性が高いということ。
言われてみればなるほど、確かにと思うところは多い。
本書では株式市場の歴史やダウ構成の個別銘柄についての解説もある。平易な文章 で、翻訳物の隔靴掻痒感も少ない。ただ、当然のことながら米国市場にのことであ り、直接、日本国内でこれを実践することは、売買手数料、為替など、コスト面や株 価以外の要素が加わったりするため、実行しにくいところがある。
ならば、日本国内で考えればどうなるのか。国内でダウに相当するものといえば何 か?。TOPIX Core30あたりが適当かと思われる。東証1部に上場するすべての銘柄 (およそ1690社)の中から、時価総額と流動性の大きな順に30社を選び出して算出さ れる株価指数がTOPIX Core30。
私自身の投資方法は、業種や市場を分散させた相当程度の銘柄で構成されるポート フォリオを維持しつつ、ここに「下げれば買い」「騰がれば売り」の細かな売買を組 み合わせることにより、全体として指数よりも値動きの傾向がおとなしく、同時に売 買による一定のリターンを上乗せすることにより、全体として指数を上回るパフォー マンスをめざそうというものである。が、ポートフォリオ全体の値動きの傾向が指数 よりもおとなしいということは、上昇相場にはついていけない(下落相場では下げ渋 るが)場合が多くはなる。実際のところは、これまではここにIPO投資による利益 などが加算されてきたため、これまでの通算では全体としては指数よりはかなりまし な投資成績にはなっている。
かつては、大証二部のマイナーな銘柄などを好んでポートフォリオに組み入れたり していたが、最近はTOPIX Core30に含まれるような大型株をポートフォリオの中心に すえるような形に変わってきた。ただ、その銘柄選択は個人的な好みでの恣意性の高 いものになっている(但し、多少は業種分散なども意識的に行うようにしている)。
個別銘柄についてあれこれ考えて売買するのは楽しいことではある。が、そうでは なくて、例えば本書のような方法論なども参考にしつつ、自分なりの銘柄選択や売買 のルールを確率し、それを相当程度厳密に行った方が安定的なリターンにつながる可 能性が高いかもしれないと本書を読んで感じた。
現在の日経平均株価はバブル後の最安値すれすれである。この水準から、TOPIX Core30で「ダウの負け犬」戦略を取れば、数年で相当に高いリターンがあるように思 うが、どうだろうか・・・。
全体として本書は相当に真面目で、相当に有効で、相当に有益な内容になっている と感じた。
惜しいのは本書の体裁。なにか雑誌の表紙のようで、いろんな文字がいっぱい並ん でいる、またイラストまでそえられているような表紙は好みではない。楽しい雰囲気 といえばそうかもしれないが、軽薄な感じがする。装丁も表紙がペーパーバック風で ありしっかりしていない。何も、学術書のような無味乾燥な表紙がいいというわけで はないが、もう少し渋みのあるかっこいい表紙で、しっかりした装丁にはできなかっ たのかと思った。本書の内容からすればその方がふさわしい。
(ふしみん・40代・公務員)
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