「ひとりの人生を変える一書」それは存在するものだ・・・。
1982年に証券会社に入社。それから、10年以上、勤めた。顧客になった人には、迷惑な話だが、私は株式投資が大嫌いだった。「すきこそ物の上手なり」。案の定、薦めた株はことごとく下がった。顧客から苦情の電話の嵐。会社にいくのがいやで、いやで仕方がなかった。
35歳、それは自身の使命を知る年齢であった。そして運命の書、「株で勝つ」と出会った。
稲妻が全身に走った。この本を読み株式投資の本質がわかった。それまでの数々の失敗の経験が、オセロゲームのように黒から白に変わった。それ以降選んだ銘柄は、ことごとく的中した。この出会いが私の人生を変えた。10年後、へぼ証券マンが日本一のアナリストとなった。
この本のすごさはどこにあるのか。平易な文章で書かれているにもかかわらず、株式投資の本質をもののみごとに、表現している。一章、一章は、わかりやすく、楽しく、ユーモアたっぷりに書かれていて、スラスラと最終章まで読めてしまう。しかし、すべてを読み終えた後、ジワーと心に染み込んでくる。そんな本なのだ。
それでは誰もがこの本の偉大さをわかるか?そうではない。どちらかといえば、そうゆう人は少数派であろう。大学時代にこの本を読んで感激し、この世界に飛び込んできた2人を知っている。2人とも業界を代表するファンドマネージャーに育っている。アメリカのある有名運用会社の面接試験。一問目は「ピーター・リンチの株を勝つ」を読んだことがあるか?答えがNOならば、面接はそこで中止にするそうだ。
この本はあなたの株式投資の能力を測る踏み絵となるだろう。もし、なにも感じなくても嘆くことなかれ、修行して一年たったらまた読んだらいい。前回と比べて何か感じるものがあれば投資家として成長している証である。
この本でもっとも大事なパートは第8章であろう。この章はピーター・リンチが株を選ぶ場合の13の基準について書かれている。
- 面白みがない、または、馬鹿げている社名
- 変わりばえのしない業容
- 感心しない業種
- 機関投資家が保有せず、アナリストがフォローしない会社
- 悪い噂の出ている会社 等々
この基準にそって自分なりに銘柄を選定されたらどうか。
株式投資理解の一助になると思う。