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カオスで挑む金融市場
倉都康行
講談社
新書判 238頁 1996年1月発売
本体 880円 税込 968円
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不規則で手強い金融市場……だが、カオス理論がある。
金融市場と聞いて多くの人がイメージすることは、「偶然」に左右され、しかも不規則に動く予測困難なものであるということ。だから、経済評論家など市場のプロという人たち達の予測が外れがちなことも当然だと思っている。また、大手銀行が金融市場で大損害を蒙っても、額の大きさに驚くことさえあれ、損をしたこと自体には驚かないことが普通である。では、本当に金融市場は「偶然」で動くのだろうか。金融市場の動きをよく見ると、必ずしも不規則とは言えないことがわかる。「偶然」ではないが、「必然」ともいえない動きを示すのだ。そこで、登場するのがカオス理論。これは、金融市場をカオスという視点で見ると、どうなるかという本である。
目次
1 複雑化する金融市場
1.金融市場という系
2.新商品の浸透
3.市場予測の難しさ
4.価格の多様な動き方
5.気まぐれな値動き
2 実務的な行動形態
1.予測の手段
2.様々な市場
3.金融機関の行動
4.相場への学習効果
5.効率の良い道具
6.金融収益の意味
3 経済現象と自然現象
1.人間の行為
2.自然への認識
3.生命体の複雑さ
4.自然と金融の近似性
5.お金のエントロピー
6.金利の揺らぎ
4 金融経済学の挑戦
1.金融経済学とは何か
2.既存理論への疑問
3.数学の影響度
4.複雑な自然の観察
5.金融経済学の行方
5 カオスを探す
1.決定論と非決定論
2.アトラクターとは何か
3.データの処理
4.フラクタル
5.カオスに関する予測
6.複雑性とカオス
6 金融市場とカオス
1.カオスは存在するか
2.カオスの意義
3.カオスの金融情報処理
4.揺らぎ再考
5.予測問題を考える
6.秩序と無秩序
7.金融技術と複雑性
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