進化心理学は人間の本性を扱うサイエンスです。本書では、二人の進化心理学者が、最新の研究の成果を用いてヒトの心理メカニズムを紐解いていきます。わたしたちが生きていくうえで直面する出来事――配偶者選び、結婚、家族、犯罪、社会、宗教と紛争――を項目ごとにわかりやすく解説。日常のあらゆる領域にみられるひと筋縄ではいかないさまざまな問題、そしてこれまでタブー視されていた過激な問いかけも、進化心理学の視点を用いてクリアにしていきます。素朴な疑問から、非道徳的な事項、残酷な要素もあえて提示した本書は、これまでの常識をくつがえす真実をわかりやすく紹介していきます。
本書では、幅広い読者に研究の成果を紹介したいという意図から、気軽に読めるQ&A方式を採用。冒頭の2章で進化心理学の基本的な考え方を解説し、続く章では誰もが抱くであろう「人間に関する素朴な疑問」を挙げ、解答していきます。どの章のどのセクションもそれ自体で完結しているので、興味のおもむくままに読むことができます。
序章 人間の本性を探る
第1章 進化心理学について
第2章 男と女はなぜこんなに違うのか
第3章 進化がバービー人形をデザインした――セックスと配偶者選びについて
第4章 病めるときも貧しきときも?――結婚について
第5章 親と子、厄介だがかけがえのない絆――家族の進化心理学
第6章 男を突き動かす悪魔的な衝動――犯罪と暴力について
第7章 世の中は公正ではなく、政治的に正しくもない――政治と経済と社会について
第8章 善きもの悪しきもの、醜悪なるもの――宗教と紛争について
第9章 おわりに――いくつかの難問
著者あとがき サトシ・カナザワ(Satoshi Kanazawa) 「人間の本性について語るための最強のスターター」(シアトル・ポスト・インテリジェンサー)
「最新の進化心理学の視点がわかる。痛快ポップ・サイエンス」(ロサンゼルス・タイムズ)
「ミラーとカナザワは、“生まれか育ちか論争”に新たな議題を提供した」(サイエンス・ニュース)
「“なぜ女性は既婚男性に引かれるのか”、“赤ちゃんはなパパ似なのか”といった、ストレートな問いへの解答」(ニューヨーク・ポスト)
■目次
まえがき
謝辞
人間の生まれもった本性――等式の忘れられた一方
二つの誤謬を避ける
ステレオタイプについて
この本の使い方
人間の本性に対する社会科学の見方
人間の本性に対する進化心理学の見方
サバンナ原則――私たちの脳は石器時代のままだ
文化をどう扱うか
謎と問いへ
Q 男はなぜセクシーなブロンド美女が好きで、女はなぜセクシーなブロンド美女になりたがるのか
Q「美は見る人の目に宿る」はなぜ嘘なのか
Q なぜ売春は世界最古の職業で、ポルノ産業は一〇億ドルの市場規模を誇るのか
Q なぜローレン・バコールとブラッド・ピットではなく、ショーン・コネリーとキャサリン・ゼタ=ジョーンズなのか
Q なぜ同じ状況でも、男と女で受けとり方が違うのか
Q なぜ「一妻多夫」社会は事実上存在しないのか
Q 現代の欧米社会はなぜ(どのように)一夫多妻なのか
Q 息子がいると離婚率が低くなるのはなぜか
Q 女たちはなぜダイヤモンドに目がないのか
Q ハンサムな男が夫に向かないのはなぜか
Q 男の子か女の子か――子供の性別に影響を与えるものは
Q なぜ赤ちゃんは「パパ似」なのか
Q だめな父親は多いのに、だめな母親が少ないのはなぜか
Q 女性のほうが家庭を大事にするのはなぜか
Q 離婚家庭の娘はなぜ初潮を早く迎えるのか
Q なぜ暴力的な犯罪者はほぼ例外なしに男なのか
Q ビル・ゲイツやポール・マッカートニーと犯罪者に共通するものは何か
Q なぜ男は結婚すると「落ち着く」のか
Q 妻や恋人に暴力を振るう男がいるのはなぜか
Q 男の政治家はなぜあらゆるものを失うリスクを冒してまで、不倫をするのか
Q なぜ男は女よりも多く稼ぎ、高い地位に就くのか
Q 神経外科医は男性、幼稚園の先生は女性が多いのはなぜか
Q なぜセクハラはなくならないのか
Q 宗教はどこから生まれたか
Q なぜ女性は男性よりも信心深いのか
Q なぜ自爆テロ犯の多くはイスラム教徒なのか
Q なぜ世界中で民族紛争や独立紛争が絶えないのか
Q 独身女性は海外旅行好きで、独身男性は外国嫌いなのはなぜか
訳者あとがき
原注
参考文献
■著者紹介
アラン・S・ミラー(Alan S. Miller)
2003年1月、多くの人々に惜しまれつつ、44歳の若さで亡くなるまで、北海道大学大学院文学研究科(行動システム科学講座)の教授を務めた。ワシントン大学社会学部の盟員准教授でもあった。カリフォルニア大学ロサンゼルス校を卒業後、ワシントン大学で博士号を取得。ノースカロライナ大学シャーロット校、フロリダ州立大学で教壇に立った。最後の勤務先となった旧帝大系の名門国立大学である北海道大学では、外国人として初めて終身教授の地位を与えられた。北大の行動システム科学講座は、日本の進化心理学研究のメッカに数えられる。犯罪、反社会的行動、宗教、比較文化、社会心理などのテーマで、権威ある学術誌に25を越える論文を発表。カナザワとの共著に、現代日本の社会秩序の特質とその起源を探った著書『Order
By Accident: The Origins And Consequences Of Group Conformity In Contemporary Japan』がある。
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカルサイエンス経営学准教授。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンおよびロンドン大学バークベック・カレッジ心理学部名誉研究フェロー。ワシントン大学で修士号、アリゾナ大学で博士号を取得(いずれも社会学)。社会学に進化心理学の視点をもちこんだ初の社会学者となる。社会学のすべての主要分野(社会学、心理学、政治学、経済学、人類学)、および生物学の権威ある学術誌で、進化心理学の論文を発表。70を超える論文・文献の一部の章を執筆している。現在、学術誌『Evolutionary
Psychology』『Journal of Social, Evolutionary, and Cultural
Psychology』および『Managerial and Decision
Economics』の編集委員を務めている。ニューヨーク・タイムズ、タイムズ(ロンドン)、ワシントン・ポスト、ロサンゼルス・タイムズ、ボストン・グローブ、タイム、サイコロジー・トゥデー、タイムズ・ハイアー・エデュケーション・サプリメント、タイムズ・エデュケーション・サプリメント、オーストレイリアン、グローブ・アンド・メールなど、世界各国のメディアに広く研究を紹介されており、FOXニュース・ライブ、BBCワールド・サービス、BBCラジオ4、NPRの『オール・シングズ・コンシダード』などにも出演している。
■訳者紹介
伊藤和子(いとう・かずこ)
早稲田大学第一文学部卒業。創刊時よりニューズウィーク日本版の翻訳、編集、ナショナルジオグラフィック日本版の翻訳に携わる。おもな訳書に、『男の嘘』(阪急コミュニケーションズ)、『脳は眠らない 夢を生みだす脳のしくみ』(ランダムハウス講談社)、『翳りゆく楽園 外来種 vs.在来種の攻防をたどる』(武田ランダムハウスジャパン)、『不合理 誰もがまぬがれない思考の罠100』(CCCメディアハウス・共訳)などがある。
■本書への賛辞
「私たちがどのような世界に生きているかを理解するのに必須な、進化心理学の最良の入門書。『政治的な正しさ』をとりあえず棚上げし、偏見や先入観を捨て、次々におそいかかる不愉快さに耐えることができれば、まったくちがう景色が見えてくるだろう。そして、『残酷な世界』を生き延びるための指針を手に入れることができるにちがいない」橘玲(作家)
(フェニックスシリーズ81)
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