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シーラ・コルハトカー/長尾慎太郎/藤原玄 ブラックエッジ 資産1兆円の男、スティーブ・コーエン物語

ブラックエッジ 資産1兆円の男、スティーブ・コーエン物語

シーラ・コルハトカー, 長尾慎太郎, 藤原玄
パンローリング
四六判 496頁 2017年12月発売
本体 1,800円  税込 1,980円  国内送料無料です。
この商品は 本日 発送できる予定です。 (発送可能時期について)
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ブラックエッジとは、企業決算や会社の買収情報・新商品・試験結果などの
エッジを事前に知り、超えてはならない一線を超えること

インサイダー情報、不正利益、ウォール街最大の容疑者の追跡劇!
読み始めるともうやめられないストーリーテリング!
「マーケットの魔術師」の称号はウソだったのか?

News

スティーブ・コーエンがニューヨーク・メッツを約2500億円超で買収合意と報じられました。(2020.09.14)
スティーブン・A・コーエンはウォール街を変えた人物だ。ヘッジファンド業界のマネーマネジャーたちは、鉄道を敷設したり、工場を建設したり、新技術に投資することはない。彼らは、投機、つまり市場の騰落への賭けを通じて巨万の富を生み出すのだ。そうすることで、彼らは巨万の富だけでなく、社会全体への大きな影響力を手にすることになる。現在、ヘッジファンドが運用する資産は3兆ドルを超え、業界内でも厳しい競争が繰り広げられているため、トレーダーたちはエッジを獲得するためにありとあらゆることに取り組んでいる。

そのなかでコーエンはもっとも大きな成功を収めた1人であり、業界のだれもが憧れる存在だ。ロングアイランドの中流家庭に生まれた彼は幼いころからウォール街での成功を夢見ていた。高校時代にはポーカーで名を馳せ、ウォートンに進学し、1992年にヘッジファンドSACキャピタルを創設する。彼はこの会社を株式トレードで150億ドルの規模を持つ帝国へと育て上げた。謎に包まれた彼は、コネティカット州グリニッジの郊外にある3000平方メートルもの大邸宅に住み、ヘリコプターで出勤し、世界でも最大級の個人での美術コレクションを持っている。ウォール街ではコーエンは天才と呼ばれ、史上最高のトレーダーの1人と目されていた。

しかし、SACキャピタルが、FBI捜査官、検察官、SECの執行官たちからなる一団による7年間にわたる徹底的な捜査の対象となると、そのイメージも崩壊してしまう。「市場の詐欺師の集まり」であり、見境なく「エッジ」、そしてインサイダー情報である「ブラックエッジ」を追求することを奨励しているとのレッテルを検察に貼られたSACキャピタルは、最終的に起訴され、巨大なインサイダー取引網に関する証券詐欺と有線通信不正行為で有罪を認めたが、コーエン自身は起訴されることはなかった。

本書は、ウォール街にはびこるグレーゾーンに光を当てるものである。コーエンと部下たちを追う政府の内幕へと読者をいざない、また現代のウォール街の頂点に立つ者たちの権力と富について難しい問題を提起する驚愕の実話である。


■著者紹介

シーラ・コルハトカー(Sheela Hkolhatkar)
『ニューヨーカー』の記者。以前は、ブルームバーグ・ビジネスウィークの特集記事担当や特派員を務め、アトランティック、ニューヨーク・タイムズ、ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー、ニューヨーク、タイムなどへ寄稿していた。講演者、コメンテーターとしても活躍しており、ブルームバーグテレビジョン、CNBC、PBS、SBC、NPRなどで、ビジネス、経済、ウォール街、規制、金融犯罪、政治、シリコンバレー、賃金格差、女性問題などさまざまな問題を取り上げている。ジャーナリストとして活躍する以前は、ニューヨーク市に本拠を持つヘッジファンド2社でリスクアービトラージのアナリストをしていた経験を持つ。現在、ニューヨーク市在住(https://www.sheelahkolhatkar.com/、@Sheelahk)

目次

序章 不安

パート1
第1章 金、金、金
第2章 コーエンが欲したもの、手にしたもの
第3章 殺人打線

パート2
第4章 リックカフェでギャンブルをするようなものだ
第5章 最先端の機密情報
第6章 利益相反
第7章 伝説となりしこと

パート3
第8章 情報提供者
第9章 王たちの死
第10章 オッカムのカミソリ
第11章 難航不落
第12章 クジラ
第13章 カルマ
第14章 救命ボート

パート4
第15章 正義
第16章 判決

エピローグ
謝辞

付録――登場人物一覧
登場人物一覧(姓のみの五十音順)


■本書への賛辞

「ブラックエッジは重要な作品であるだけでなく、大変面白く、恐ろしいまでのリアリティにあふれている。シーラ・コルハトカーは、ヘッジファンド業界ならびにウォール街で伝説ともなった富の裏にある不正行為の数々を暴き出した。本書は、読み始めたらとまらなくなる」――ジェイン・メイヤー(『ダーク・マネー』[東洋経済新報社]の著者)

「ブラックエッジは、連邦政府が著名なターゲットをどのように追いかけたか、そしてそれと同じく重要なことに、現代のウォール街がどのようなことをしているかを暴いた傑作とも言える画期的なリポートであり、素晴らしい物語である」――ジェフリー・トービン(『ザ・ナイン――アメリカ連邦最高裁の素顔』[河出書房新社]の著者)

「テンポ良く、機知に富んだ本書は読者の心をつかんで離さないであろう。また、金融制度の腐敗を白日の下にさらした、当代最高の暴露本でもある。必読の1冊だ」――デイヴィッド・グラン(『ロスト・シティZ』[NHK出版]の著者)

「本書は、伝説のトレーダーであるスティーブ・コーエンをインサイダー取引で捕らえようとする政府の試みと、それを逃れようとするコーエンの真実の物語である。深淵なる調査と一流の筆力をもって、シーラ・コルハトカーがウォール街でもっとも謎に包まれ、またもっとも興味深い人物に新たな光を当てている」――ベサニー・マクリーン(映画『エンロン――巨大企業はいかにして崩壊したのか』の共同原作者)


監修者まえがき

本書はヘッジファンドの勤務経験を持つジャーナリスト、シーラ・コルハトカーによる“Black Edge : Inside Information, Dirty Money, and the Quest to Bring Down the Most Wanted Man on Wall Street”の邦訳で、ここで言うブラックエッジとは、非合法のインサイダー取引によるエッジを指す。これは、世界最大級のヘッジファンド、SACキャピタル・アドバイザーズが犯した一連のインサイダー取引をめぐる、SACとFBI(米連邦捜査局)やSEC(米証券取引委員会)の攻防を描いたドキュメントである。だがその結末は釈然としないもので、インサイダー取引の起点となったアナリストは有罪となり刑務所に行くことになったが、本来最も責任を問われるべきSACのオーナーであるスティーブ・コーエン自身は逃げ切ることに成功している。その後、SACは閉鎖されたが、組織はコーエンの資産を運用するファミリーオフィス(ポイント72アセット・マネジメント)として再編され活動を継続している。

ところで、読者の方はインサイダー取引など自分とはまったく関係のない世界の話だと思われることだろう。確かに普通の生活を送っているかぎり、たとえ望んだとしてもインサイダー情報など得られるものではないし、そもそも分別のある人間ならばそんな割に合わない危険な行為はしないだろう。しかし、だからと言って安心することはできない。随分前のことになるが、私が勤務先で、ある新興国の大手銀行の幹部の訪問を受けたときのことだ。(全文を読む)


(ウィザードブックシリーズ258)

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