経済指標は日本はもちろん、世界中の国々が発表しています。それも、1つ2つではなく、さまざまな機関がさまざまな視点でさまざまな指標を。なかには同じテーマを複数機関が独自の指標を発表しているものも。足元の経済状況を判断するうえでの重要なバロメータでもある経済指標からは、株価だけでは判断できない、その国の内情を知ることができます。株価がしっかりと上昇をしていて好調そうに見えている状況下でも、経済指標を細かく分析してみると、悪い兆候が見られるということはよくあります。反対もしかり。データは現状を示すものだとしても、将来的な動向の兆しをつかめれば、他者に先駆けて動けるようになるのです。そのためにも継続的に数字を追うことは重要になります。
日本人投資家の多くが、日本市場に投資をしていることでしょう。そんな方々にとって本書で取り上げる米国の経済指標など見る必要ないと思うかもしれません。ですが、米国との経済的な結びつきが強く、「米国がくしゃみをすれば、日本が風邪をひく」との言われるように、日本経済が米国経済に多大な影響を受けるのは事実です。そのためには、米国の景気動向をしっかりと把握しておく必要があるでしょう。
本書にはGDP(国内総生産)からはじまり、失業保険申請件数や個人消費価格指数、中古住宅販売や小売売上高など、米国のさまざまな経済指標が登場し、その特徴やポイントを解説します。ですが、最初から全てを追うことは現実的に無理があります。まずは全体像をつかんだり、自分のビジネスや投資テーマにそった指標を継続的に追ってみましょう。続けていけばきっと数字の変化が示す背景をつかめるはずです。そうすれば世界経済への認識が深まり、あなたのビジネスや投資にヒントを与えてくれるはずです。
第1章 経済指標とは何か
1―1 経済指標は、経済の状態を把握するうえで欠かせないデータ
1―2 経済指標には様々な種類がある
1―3 経済指標は、サプライズを予想してそれに賭けるものではない
1―4 ヘッドラインに単純に反応するプログラムトレードには注意
1―5 市場はなぜ、経済指標に過剰反応したり、無視したりするのか
1―6 日本人にとっての世界各国の経済指標
第2章 GDP(Gross Domestic Product)国内総生産
2―1 GDPは経済指標の基本中の基本
2―2 ウェブサイトからGDPのデータの取得
2―3 GDPには、経済指標の全てが詰まっている
2―4 個人消費は経済の60%以上を占める、景気の原動力
2―5 設備投資は景気動向に影響されやすい、経済の風見鶏
2―6 在庫投資は予測が難しく、サプライズ要因となりやすい
2―7 貿易収支や政府支出にも十分な注意が必要
2―8 GDPには、インフレ指標も含まれる
2―9 同時に発表される、企業収益もしっかりと把握しておこう
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第3章 企業の経済活動を基にした経済指標
3―1 企業サイドの経済指標は、景気動向を分析するうえで信頼度が高い
3―2 製造業受注は景気の先行指標として注目が高い
3-2-1 耐久財とは、償却期間の長い消費財
3-2-2 運輸関連や防衛関連を外したデータにも注目が必要
3-2-3 非耐久財の受注は、1週間遅れで発表される
3-2-4 受注以外では、出荷や在庫のデータにも注目が必要
3―3 企業景況感指数は注目度が高く、市場の反応も大きい指標
3-3-1 総合指数だけでなく、サブ指数にも注目が集まることも多い
3-3-2 アンケート調査の結果とはいえ、先行指標としての役割は大きい
3-3-3 PMIは多くの調査機関が出しているが、見方は基本的に同じ
3―4 注目度こそ高くないが、経済成長の鍵を握る指標「労働生産性」
3-4-1 労働生産性の低下は、FRBがもっとも警戒するシナリオのひとつ
3-4-2 労働生産性を見るうえでの重要な項目
3―5 鉱工業生産指数は景気の大きな流れを把握するのに役立つ
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第4章 個人の消費活動を基にした経済指標
4―1 小売売上高は、個人の消費動向を見るうえでの重要な指標
4-1-1 注目を集めるのは全体と、自動車を除いた売上高
4-1-2 季節的な傾向がハッキリと出てくることが多い
4―2 消費者景況感指数は、ブレの大きい不安定なバロメーター
4-2-1 消費者信頼感指数は、雇用の先行きについての調査が充実
4-2-2 ミシガン大消費者指数は、インフレ見通しも発表される
4―3 個人所得、個人消費は、注目度が高い割に影響はそれほど大きくない
4-3-1 個人所得は比較的変動は少ないが、消費の先行指標となる
4-3-2 個人消費支出の動向は、そのまま景気に直結する
4-3-3 個人貯蓄と貯蓄率の変化にも、注目が必要
4-3-4 個人消費価格指数(PCE)は当局が重視する物価指標
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第5章 雇用に関する経済指標
5―1 雇用統計は、誰もが注目する経済指標の中の経済指標
5-1-1 雇用統計は、企業ベースと家計ベースの二本立て
5-1-2 失業率の鍵を握るのは、労働力人口
5-1-3 労働参加率は、求職者が景気の先行きをどのように見ているかが反映される
5-1-4 失業率には、多くの種類がある
5―2 失業保険申請件数は、雇用の先行指標としての注目度が高い
5-2-1 失業保険申請件数は、新規申請件数と継続需給件数の二本立て
5-2-2 データはバラツキが激しいので、4週間の平均を取って見る
5―3 求人・労働力異動調査(JOLTS)は、近年注目度の上がった指標
5-3-1 求人数は、非農業雇用数の先行指標となり得るデータ
5-3-2 新規採用数や離職数は、雇用数により密接するデータ
5-3-3 失業者一人あたりの求人数は、FRBが参考にするデータの一つ
5-3-4 データに対する信頼度は低く、以前は重要視されなかった
5―4 ADP民間雇用レポートや企業解雇予定数なども、無視するべきではない
5-4-1 ADP雇用レポートは、雇用統計との乖離が問題点
5-4-2 米企業解雇予定数は、雇用ではなく解雇に注目した指標
5―5 企業景況感指数の雇用指数は、今後の動向を見極める手掛かりとなる
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第6章 物価に関する経済指標
6―1 消費者物価指数は、認知度も注目度も一番高い
6-1-1 コア指数は、なぜ重要視されるのか
6-1-2 一度上昇すると下がりにくい項目には、注意が必要
6-1-3 サービスの価格は、人件費の影響を受けやすい
6-1-4 価格の高いモノやサービスの物価動向には、全体が影響を受けやすい
6―2 生産者物価指数は、変動も激しいが先行性も備える
6-2-1 総合指数とコア指数が、中心になることは変わらない
6-2-2 完成品に至るまでの製造過程によって、価格の先行性も変化する
6―3 個人消費価格指数は、FRBが注目する物価指標
6-3-1 注目されるのは、やはり総合指数とコア指数
6―4 輸入物価指数は、為替相場の影響を受けることに注意
6-4-1 輸入物価指数は、石油や燃料関連の影響が大きい
6-4-2 輸出物価指数では、農産物の価格動向が注目される
6―5 雇用コストに関連する指標は、長期的な物価トレンドを見るうえで重要
6-5-1 雇用コスト指数は、四半期ごとに発表される物価指標
6-5-2 時間当たり賃金は、雇用統計に含まれる物価指標
6―6 企業や消費者の景況感指数の物価指数も、先行性が高い
6-6-1 製造業景況感指数の価格指標では、支払い価格指数に注目
6-6-2 ミシガン大消費者信頼感指数のインフレ見通しは、注目度が高い
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第7章 住宅に関する経済指標
7―1 住宅着工件数と建築許可件数は今後の住宅建設のバロメーター
7-1-1 建築許可件数は、新規住宅建設の先行指標
7-1-2 住宅新規着工件数は、市場の注目度が一番高い
7―2 住宅販売件数は、住宅に対する需要の強さを反映する
7-2-1 新築住宅販売は、意外に変動が激しい指標
7-2-2 中古住宅販売は件数も多く、市場の注目度も高い
7-2-3 住宅販売ペンディング指数は、中古住宅販売の先行指標
7―3 住宅価格指数は、発表のタイミングが遅いことを考慮する必要がある
7-3-1 ケース・シラー住宅価格指数は、住宅価格指標の代表選手
7-3-2 FHFA住宅価格指数は、地域毎に価格指数を算出
7―4 住宅市場指数や建設支出も、できればチェックしておきたい
7-4-1 住宅価格指数は、住宅建設業者の景況感指数
7-4-2 建設支出は、商業用施設も含めた不動産の開発状況を確認できる
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第8章 注目すべき経済指標は、まだまだある
8―1 景気の先行きを読むうえで重要かつ、非常に便利な経済指標
8-1-1 景気先行指数は、景気に先行する指標をまとめて指数化
8-1-2 景気一致指数や景気遅行指数にも、一応目を通しておこう
8―2 国際収支は、以前ほど影響力をもたなくなった
8-2-1 貿易収支では、収支バランスのみならず全体の取引量も重要
8-2-2 経常収支は、貿易収支に所得(資本)の移動を加えたもの
8―3 財政収支が材料視されることは滅多にないが、傾向はチェックしておくべき
8―4 マネーストックは市場の流動性を知るための、代表的な経済指標
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第9章 金利市場からも、景気の動向を読み取ることができる
9―1 景気拡大局面での金利上昇は、良い金利上昇
9―2 インフレに起因する金利の上昇には、警戒信号を高めるべき
9―3 インフレの先行きを反映する金利指標
9―4 景気の先行きを反映する金利指標
9―5 イールドカーブの逆転は、景気後退(リセッション)の前触れ
9―6 イールドカーブの逆転が、なぜ景気の悪化をもたらすのか
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第10章 FRBの金融政策を見るうえで、必要な知識を身につけよう
10―1 FRBの仕組みを、きちんと理解しておこう
10―2 FOMCで金融政策が決定されるまでの流れ
10―3 市場との対話に、FOMCは常に注意を払ってきた
10―4 FOMCでは、どのようなデータが重視されるのか
10―5 FEDは金融のエリートが集まるシンクタンクでもある
10-5-1 市場関係者の間で注目度の高い、GDPナウ
10-5-2 NY連銀が発表する、数少ないインフレ期待指数
10-5-3 セントルイス連銀は、経済指標の様々な見方を示してくれる
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あとがき
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