解説: 竹内伸太郎 氏 | |
※West Village Investment社は、投資戦略フェア2012 に出展します。
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所得区分 | 所得の例示 (青字は投資関連の例) | 課税方法 | 詳細区分 |
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利子所得 | 預貯金の利子、公社債の利子 | 源泉分離 | 1 |
配当所得 | 株式の配当、株式投資信託の配当 | 源泉分離 | 2 |
一時所得 | 保険期間5年以下の生命保険の一時金 | 源泉分離 | 3 |
所得区分 | 所得の例示 (青字は投資関連の例) | 課税方法 | 詳細区分 |
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不動産所得 | アパートやマンション、土地の賃貸収入 | 総合課税 | 4 |
事業所得 | 商工農漁業、医師、弁護士などの個人事業主の所得 | 総合課税 | 5 |
給与所得 | 勤務先から受け取る給与や賞与 | 総合課税 | 6 |
譲渡所得 | ゴルフ会員権などの売却益、eワラントの譲渡? | 総合課税 | 7 |
一時所得 | 懸賞や福引の賞金、競馬などの払戻金、キャッシュバック | 総合課税 | 8 |
雑所得 | 年金、アルバイトの講演料、店頭FXの決済差損益、スワップ金利 | 総合課税 | 9 |
所得区分 | 所得の例示 (青字は投資関連の例) | 課税方法 | 詳細区分 |
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退職所得 | 退職により勤務先から受け取る退職金 | 申告分離 | 10 |
山林所得 | 山林の伐採や譲渡による所得 | 申告分離 | 11 |
譲渡所得 | 土地や建物の売却益 | 申告分離 | 12 |
譲渡所得 | 株式などの売却益 | 申告分離 | 13 |
雑所得 | 先物取引の損益、取引所FX(くりっく365)の決済差損益、スワップ金利 | 申告分離 | 14 |
(参考)
●総合課税:上記4から9までを合算し、合計所得に応じた税率を適用する課税方式。税率は15%から50%までと、合計所得が多くなればなるほど高い税率(累進)となる。通常は確定申告が必要。
出典『FX投資家のための賢い税金の本』 (インヴァスト証券 近代セールス社)
●申告分離課税:上記10から14は、総合課税から分離し、それぞれの所得ごとに累進税率または一定税率を適用する課税方式。通常は確定申告が必要。
出典『FX投資家のための賢い税金の本』 (インヴァスト証券 近代セールス社)
●源泉分離課税:上記1から3は、総合課税から分離し、それぞれの受領時に一定税率による税額が差し引かれる課税方式。通常は源泉徴収されただけで課税関係は完結する。
★ ポイント 例えばFX取引による所得は雑所得であるが、証券会社などとの取引形態によりその区分が異なってくる。取引所(くりっく365)取引は分離課税で申告し、店頭(相対)取引は総合課税で申告となる。何とも複雑である。わかりにくいが、この区分が所得税を考えるうえでの最重要ポイントだ。 |
自分の所得を区分することができたら、次は各種所得金額を計算します。 各種所得金額=総収入金額−必要経費で計算します。証券会社などから発行される年間取引報告書をまずは確認し、さらに報告書に記載されないセミナー参加費など、必要経費に算入できるものをピックアップして、上記1から14までの各区分ごとに集計します。 各区分での所得がプラスなら要申告、マイナスなら申告不要、これが原則ですが、いくつかの例外規定もありますので、慎重な判断が必要です。
(参考)
●総収入金額:株式売却収入、先物決済差損益、為替差損益、スワップポイントなど
●必要経費:株式取得費、売買手数料、セミナー参加費など
★ ポイント
必要経費になるかどうかは、その所得を得るのに直接的な因果関係があるかどうかで判断すべし! 税務署に問い合わせると大抵ダメと言われるので、税理士会や商工会議所などが主催する税理士による無料税金相談会などを活用するのもあり!
所得がプラスでも申告不要のケースがある!
所得が不運にもマイナスとなっても、次の損益通算の可能性を探ること! |
損益通算には2つあります。1つは同一所得区分での内部通算、もう1つは他の所得区分との外部通算です。
1.同一所得区分での内部通算は必ずできる!
(ケース1)年金収入200万円ある人が、店頭FX取引で▲30万円の損があった場合
これらは同じ「雑所得・総合課税」の区分内の所得ですから相殺可能です。差引170万円が雑所得・総合課税の対象となります。年金については源泉徴収されているはずですから、確定申告することで、既に源泉徴収された所得税の一部還付が受けられます。
(ケース2)給与収入500万円ある人が、日経225先物取引で50万円の利益、取引所FX取引で▲30万円の損があった場合
日経225先物取引と取引所FX取引は同じ「雑所得・申告分離課税」の区分内の所得ですから相殺可能です。差引20万円が雑所得・申告分離課税の対象となります。年収2000万円以下のサラリーマンで、かつ、利益が20万円以下ですから申告免除です。
2.他の所得区分との外部通算はできない!
(ケース3)給与収入500万円ある人が、店頭FX取引で▲30万円の損があった場合
給与収入は「給与所得」、店頭FX取引は「雑所得・総合課税」です。この場合は所得の区分が異なるので通算できません。また、店頭FX取引の▲30万円の損、つまり「雑所得・総合課税」の損失は、他の所得区分との外部通算もできません。切り捨てられて終了です。
(ケース4)年金収入200万円ある人が、店頭FX取引ではなく、取引所FX取引で▲30万円の損があった場合
年金収入は「雑所得・総合課税」、取引所FX取引は「雑所得・申告分離課税」です。この場合は所得の区分が異なるので通算できません。
しかし、見捨てられるわけではありません。取引所FX取引の▲30万円の損、つまり「雑所得・申告分離課税」の損失は、確定申告を条件に、翌年から3年間の利益と相殺できます。平成23年分の損失を申告しておけば、平成24年分から平成26年分までの利益から減額できるのです。この制度のことを繰越控除といい、上場株式の売却による損失「株式譲渡所得・申告分離課税」の区分でも同様の救済措置があります。
出典 『FX投資家のための賢い税金の本』 (インヴァスト証券編、近代セールス社刊)
★ ポイント
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1暦年分の所得を計算し、その税額を確定(精算)するのが確定申告です。平成23年分の確定申告期限は平成24年3月15日(木)となっています。
(ケース)平成22年には実は日経225先物で▲30万円の損があったが、マイナスなので申告していなかった。しかし、平成23年には取引所FX取引で50万円の利益があった場合
日経225先物での▲30万円の損は、「雑所得・申告分離課税」のものですから、前年に損失申告も可能だったわけです。もし申告していれば、同じ所得区分である取引所FX取引の50万円の利益と、今回の確定申告で相殺(繰越控除)できたはずです。
通常、所得税法(租税特別措置法)上の繰越控除の規定には、確定申告書を期限までに提出することが要件だとキッチリしっかり書いてあります。後出し不可能です。
しかし、日経225先物などの「雑所得・申告分離課税」の損失申告、上場株式の譲渡などの「株式譲渡所得・申告分離課税」の損失申告には、期限までに提出することが要件とされていないのです。つまり、そのまま解釈すれば、平成22年分の損失申告(▲30万円の繰越)と、平成23年分の確定申告(50万円の利益−前年分30万円)を行えるのです。医療費控除や住宅ローン減税など別の理由で、既に該当年分に損失なしとして確定申告書を提出していたら厳しいですが、申告していないのであれば検討の余地は十分にあります。
★ ポイント
転んでもタダでは起きるな!損失は将来のキャッシュバックの源泉だ! 今からでも遅くない! 平成20年分からの損失を洗い直せ!
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雑所得・申告分離課税の税率は20%なので、30万円の損失が実に6万円の税効果を生じさせます。日経225mini1枚あたりの往復売買手数料を200円としたら、300回分の取引コストと同等です。
確定申告を行ったことのない方も多いと思いますが、インヴァスト証券から発行された『FX投資家のための賢い税金の本』では、申告書の記載例など非常にわかりやすく解説されていますので、申告初心者の方必見です。
また、国税庁のホームページに無料で使える申告ツールもあります。この4年間ですでに導入された方は別として、平成23年分の確定申告でe-Tax(電子申告)を使えば4000円の税額控除も受けられます。e-TaxにはICカードとカードリーダーが必要で、これらの取得に数千円のコストがかかりますが、申告書への書類添付が不要になるメリットがあります。
自分の所得を自分で申告することで税に対する意識が高まり、結果「税引後キャッシュ最大化」の実現が図られます。是非これを機会に自分の税金にもしっかり目を向けた投資戦略を実行していただければ幸いです。
(ご注意)
6 さいごに
上記の説明は、平成23年12月現在の法令に基づいて掲載しておりますので、法令改正に伴い状況が変わる可能性があります。また、実際の確定申告では、ご自身のみならず他のご家族(親族)の状況などにより、該当規定の適用の有無を判断する必要もあり、注意が必要です。最終的には、税理士などの専門家や所轄税務署とご相談の上、意思決定されるようお願い申し上げます。
解説: 竹内伸太郎 氏 | |
※West Village Investment社は、投資戦略フェア2012 に出展します。
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