そのTEDで「音楽と情熱」と題して、クラシック音楽の楽しみ方から、リーダーシップ、生き方まで、音楽を通じた講演で人気を博したのが、本書の著者ベンジャミン・ザンダーである。
著者はニューイングランド音楽院講師、同音楽院ユースフィルハーモニック管弦楽団指揮者を経て、79年にボストンフィルハーモニック管弦楽団を立ち上げ、現在も活躍中だ。
その経験から得たリーダーシップ、コーチングは、97年の世界経済フォーラム(ダボス会議)の先進国首脳陣に向けた講演で、人の可能性を引き出す独自の発想として話題を呼んだ。
彼の話は「発想の転換」について有名なある話から始まる。
靴会社がアフリカのある地域にふたりの調査員を送り、進出先として有望かどうかを調べた。
ひとりは次のような電報を打った。
「絶望的。誰も靴を履いていない」
もうひとりは意気揚々とこう報告した。
「すばらしい商機。誰も靴を持っていない」
仕事や人間関係で問題が発生しても、それはあなたの思い込みにすぎないことがたくさんある。表現次第、とらえ方次第というわけだ。難しく見える問題も、新しい視点で見ればきっと解決策がある。いや、その瞬間に解決の必要すらなくなるかもしれない。
本書はセラピストのロザモンド(ロズ)と、ベンジャミン(ベン)が「思い込みを抜け出し、発想を転換し、新しい視点を得る12の手法」を発見したエピソードを実例とともに紹介する。
12の手法は、誰かに変化をうながしたり、自分を矯正するのとは違う。ありのままを受け入れ、視点を少しだけ変えることで、競争や不足、自分や世間を縛る常識から解放されて、新しい枠組みを作り上げることだ。 二人の言葉は、組織論、リーダー論、音楽論とひとくくりではない。仕事、教育、恋愛など、すべての悩める人に新しい道を開く光となるだろう。
※本書は『チャンスを広げる思考トレーニング』(日経BP社)の新装改訂版です。
歴史を振り返ると、芸術家は、有力な組織に雇われ、確立した規範を感情の面で裏付けする役割を担ってきた。ところが現代のグローバル社会では、そのような大多数の人の価値観と方向性を生み出し、かつ幅広く受け入れられている組織がない。
自由社会では、政府や宗教組織に代わって「市場」が最高権力者としての力を急速に発揮し始めている。市場は価値観なしに動き、人の言葉で対話をすることはない。しかし芸術ならば、ここに新天地を開くことができる。モノや資本の流れに人の意識を反映させ、人と人とのつながりを活発にし、創造と実践の場へと続く新しい扉を開くことができる。
世界の仕組みや構造が根本から変化するなか「自分は何者なのか、何のためにここにいるのか」という問いの答えを、もう一度考え直してみる必要があると思う。
ヨーロッパの選挙で投じられた一票、東京の金融政策、南太平洋の異常な水温上昇が、離れた場所に暮らす人々に直接影響を及ぼす。このことは、人間は自ら行動し、自ら制御できるものだという前提を疑わしくさせる。
「自分は何者なのか」という問いを、これまでのものの見方のなかだけで考え続けていれば、いずれは世の中の動きに対する発言能力も衰えてしまうかもしれない。そこで本書は、自分自身、他人、そして私たちの生きる世界を定義する新しい方法を提案したい。それは、より時代の要求に合った方法でもある。
音楽の比喩を使い、あらゆる芸術の力を駆使しよう。芸術とはそもそも、人間を新しく位置づけ、意外な組み合わせ、多種多様な感情表現、驚くべき存在、そして永遠への飛行経路を生み出すためにあるのだから。
可能性を実現する12の手法
手法1 全部作りもの
●すべては物語の語り方、表現の問題にすぎない!
手法2 可能性という宇宙へ
●世界をつなぎ止めている「隠れた枠組み」を明らかにする!
手法3 みんなにAを
●ミケランジェロは言った。「どんな石や大理石の塊の中にも美しい像があり、不要な部分を取り除くだけで内にある芸術作品が姿を現す」
手法4 貢献する
●自分や他人を「貢献」する者として意識すると、おのずと利己的な考えから離れ、人との結びつきが深まり、人生そのものが、より良い変化をもたらす舞台となる!
手法5 誰もがリーダーになれる
●本番中に頭が真っ白になってしまったビオラ奏者のかわりに、とっさにビオラの旋律を奏でた第二バイオリニストの言葉。「違う弦に指を載せて構えているのが見えたんだ。きっと次のパートを忘れているんだと思ってね」
手法6 規則その六
●規則その六は「あまりくそまじめになるな」
手法7 ありのままを受け入れる
●本来はこうあるべきなのだと最初から想定するのではなく、あくまでも現状から出発する。
手法8 情熱に身をまかせる
●1、自分が尻込みしている部分に気づき、解放すること 2、とにかく全身全霊でのめり込むこと
手法9 可能性の火花をおこす
●とても無理だと思う相手とでも、可能性の火花をおこして、同じ体験を共有する方法!
手法10 ゲーム盤になろう
●現状をありのままに受けとめる方法では、なかなか可能性が見えてこない。とにかく途方に暮れている――そんな場合は次の手法がある。
手法11 可能性を開く枠組みを作る
●あらゆる規模の組織を悪循環から可能性の領域へと導く!
手法12 「私たち」として語る
●テロリストが何をどう変え、どう扱われれば、社会のためになると考えているのか、じっくりと意見を聞こう。テロリストも『私たち』の一員なのだ
コーダ
謝辞
参考文献
ベンジャミン・ザンダー(BENJAMIN ZANDER)
1979年にボストンフィルハーモニー管弦楽団を創設。同楽団で指揮者を務める。同楽団によるベートーベンとマーラーの全曲集のライブ録音は有名。ボストンのニューイングランド音楽院では三十年間教鞭を執る。イギリス出身。九歳で作曲を始め、ベンジャミン・ブリテンやイモジェン・ホルストに学ぶ。チェロ奏者としてはイタリアやドイツにて、ガスパール・カサドに師事。リーダーシップと創造性に関する講演を数多く手がけ、1999年、ダヴォスの世界経済フォーラムで異文化の交流に多大な貢献をしたとしてクリスタルアワードを受賞。2008年にはTEDカンファレンスで講演し、好評を博した。
(フェニックスシリーズ4)
エルマー・ホイラー/駒井進 パンローリング
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マーク・ダグラス/世良敬明 パンローリング
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ジェームズ・アレン/坂本貢一 サンマーク出版
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トマス・J・スタンリー/広瀬順弘 日本経済新聞出版社
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ライアン・ホリデイ/金井啓太 パンローリング
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