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バフェットに並ぶ巨人(ウォール街最高の知恵)の手法が明らかに!
成功するための戦略と分析と決断と感情
投資法や投資戦略を語った書物は数多くあるが、本書はそれらと一線を画するものである。バリュー投資の巨人エド・ヴァヘンハイム三世は、資本を守り、増やすために、実際の現場で用いられた投資手法や投資戦略を、自身がハーバード・ビジネス・スクールで学んだケースメソッドの手法を用いて描き出している。それらの投資は、彼が自分の会社グリーンヘイブン・アソシエイツ(エド・ヴァヘンハイムは同社の会長兼チーフファンドマネジャーであり、ウォール街で最も優れた投資家の1人とされ、現在およそ55億ドルを運用し、ヴァヘンハイム家、大学基金、引退したウォール街の重役たちや資産家などが顧客となっている)で行ったものである。
本書では、ウォール街の傑出した投資会社が採用する日々の投資手法や銘柄選択に触れられているだけでなく、卓越したファンドマネジャーによる調査・分析・モデル化、そして決断に至るプロセスをも知ることができる。市場の達人たちがどのようにして機をとらえ、富を生み出しているかを追い求めるだけでなく、実践の手引きとも呼べる本書では、人間の感情やプレッシャーや落胆など、時に目に見えない不確定要因やリスクを伴う取引から利益を獲得する好機を逃しかねない行動面にも踏み込んでいる。筆者は、投資にかかる自身の知恵を明らかにするだけでなく、巧みな挿話を通じて、ケーススタディに底通する要素を描き出し、偉大な成功の理由を浮き彫りにしている。この価値ある手引書は、即座に市場での競争優位を読者にもたらすであろう。なぜなら、ほかでは手に入らない情報を読者にもたらすからである。それは次のものである。
「エド・ヴァヘンハイムは、何十年もの間、バリュー投資家として大きな成功を収めてきた。ケーススタディを通じて自身の投資アプローチを説明している本書はよくまとまった、大変興味深いものである。そこでは、成功した投資のみならず、失敗に終わった投資も紹介されている。成功を得るためには、綿密な調査と確率論的な物の見方、そして非合理な市場に直面しても、平静を保ちつづけるだけの強い性根が必要であることを読者は学ぶであろう」――ロバート・E・ルービン(元アメリカ財務長官)
「エド・ヴァヘンハイムは、投資家として自身の『一般常識』に従うことの重要性を常日ごろから強調している。しかし、彼が株式を買うかどうかを決めるにあたり、それらの企業のあらゆる可能性や変数をどのように分析しているかをみると、彼の賢明なる予見能力がまるで『一般的な』ものではないことが分かるであろう。魅力にあふれ、啓蒙的ですらある本書は、門外漢にも分かりやすいものであるし、ましてやプロフェッショナルであれば、必読だと言えるだろう」――ニール・L・ルーデンスタイン(元ハーバード大学学長)
さて、グリーンヘイブン・アソシエイツの運用するアカウントは、過去二五年間に平均年利一九%のリターンを上げてきた。著者はその成功の理由を自身が八〇年代に開発したバリュー戦略によるものだとしている……(続きを読む)
本書を通じて、読者の方が私の投資アプローチから何かを得ることができるように、また私の小さな成功の要因となったであろうことを探求し、過去に下してきた投資判断の根拠を記していきたいと思う。では、どのように記していくのか。私は、ケーススタディを通じてビジネスを教える、ハーバード・ビジネス・スクールの卒業生である。戦略や経営判断、投資判断の元となる思考を説明するにあたり、ケーススタディという方法は知的好奇心をかき立て、妥当かつ効果的な方法であるとの確信を持っているので、本書でもその方法によることにした。本書の第3章から第13章において、私が一九八七年に設立した投資顧問会社グリーンヘイブン・アソシエイツ(Greenhaven Associates)において行った投資のうち一一件の事例の内幕を披露している。これは、調査、分析、モデル化、決断というグリーンヘイブンが実際に行っている投資プロセスを解説するものである。また、感情や欲求、期待や高揚感、そして失望といった投資には付きものの人間の行動面をも説明するものである。これらの章が本書の根幹とも言えるもので、ファンドマネジャーがどのように時間を過ごし、どのように決断を下しているのか、その内面を読者に伝えることができるだろう。そして、これこそが重要であるが、私がなぜ投資家して成功することができたか、何か有効で何が有効でないのかを読者に理解してもらうことができるであろう。
第3章から第13章で紹介する投資判断について、読者によりよく理解してもらうために、第1章において、グリーンヘイブンの基本的なアプローチ、投資戦略について説明している。また、投資家がその投資戦略を成功裏に実行するためには、その者の性格、気性やそれまでの経験が重要となる。そこで、第2章において、私の内面、さらに重要なことであるが性格や気性、学生や職業人としての経験について述べることとする。
最終章である第14章には、ジャック・エルガートという若き投資家に向けた私の手紙を掲載している。彼は、ファンドマネジャーとして成功するためのアドバイスを私に求めてきたのだ。この章では、私の投資戦略、そして長い経験のなかで有用であると感じた「なすべきこと、なさざるべきこと」をまとめている。
私がまだ一〇代、二〇代だったころ、自分の能力を隠すことも才能のひとつであると、父は繰り返し忠告していた。また叔父も、人目を引くようなことはすべきでないと繰り返し助言してくれた。それなのに、なぜ私は筆を執ることにしたのだろうか。尊敬と愛情の対象であった先達の言葉に逆らうのだろうか。株式投資は私一生の仕事であり、情熱であり、喜びであり、収入源であり、富の源泉なのである。これこそが先達の言葉に逆らう理由である。投資家として成功するという期待を胸に、私は懸命に勉強し、投資アイデアとして有効なものとそうでないものについて徹底的に考えを巡らせてきた。そして、投資家として成功する者が持つ内面性、経験、想像力や精神などについても熟考していた。それらの努力の結果、私は投資家として成功するための、心理的・分析的アプローチを身に付けることができたのだ。近年に至り、これはほとんど使命とも感じているのだが、私のアプローチや経験を、時間を無駄にはできないほかの人たちと共有したいという衝動に駆られている。それゆえ、本書を著すことにしたのだ。
本書に記されている投資にかかる基本的な事象はすべて正確であるが、そのときになされた会話や、業績予測、日付や場所などの詳細については失念しているものが多々ある。可能なかぎり、不確かな記憶をたどり、正確を期そうとしてきたつもりだ。また、本書に登場する個人の名前や背景については、彼らのプライバシーを守るために、勝手ながら変更している。また、ジャック・エルガートに宛てた手紙には、より詳細な解説を行うためにアプローチや戦略について付け加えてもいる。
本書が投資プロセスについての考えを刺激するものとなることを強く期待している。たとえ読者が私の投資アプローチに同意できないことがあったとしても、読者が投資という科学や芸術を深く考えるきっかけとなるのであれば、本書を記すためにつぎ込んだ時間と労力は無駄ではなかったと思えることであろう。
(ウィザードブックシリーズ247)
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