「優れた手法を学べば儲かる」と信じている人はとても多いです。確かに、良い手法を学べば、パフォーマンスの上がる確率は高まります。例えば、ファンダメンタル分析によってお宝銘柄を発掘することは利益につながるひとつの方法です。テクニカル分析でタイミングを見計らって市場に参加することも、値動きを読むのが好きな人にとっては効果的なやり方でしょう。
ただ、ここでひとつ、ある疑問が出てくるのも事実です。その疑問とは「同じようなやり方をしているにもかかわらず、結果を出せる人とそうでない人が生まれてしまう」というものです。優れたノウハウを手に入れることによって儲かるのであれば、誰がやっても儲かるはずです。でも、現実には、そのようなことはあり得ません。
実は、儲けるためには、自分自身を正しく理解しておくことも求められます。自分の弱みはどこにあるのか。自分はどういう失敗をしやすいのか。そういうことを正しく理解していないと、どんなに優れた方法を手に入れたとしても、その効果を享受することはできないのです。自身の弱点がノウハウの効果を打ち消してしまうからです。
手法は確かに大事です。でも、それ以上に大事なのは自分自身を理解しておくことなのです。このことを踏まえて、本書では、以下の構成にしています。
【敵を知るための手法】
第1章:企業の本質的価値を算出するのに最適なグレアム流PERの紹介
第2章:バフェット流エクセレント・カンパニーの選び方を紹介
第3章:相場全体の分析をするうえで、知られていない割に重要性の高い指標を5つ
紹介
【己を知るための手法】
第4章:自己分析のために必要不可欠な記帳について紹介
第5章:筆者が実際に行った自己分析と投資の改善を紹介
第6章:投資の奥義「勝ち逃げ」について紹介
己を知らずに良い手法を使っても、その効果は一時的なものになるでしょう。でも、自分の弱みを理解したうえで、己に打ち勝つことができれば、継続的に手法の効果を実感できると思います。もちろん、投資のパフォーマンスも劇的に改善できます。
(現代の錬金術師シリーズ130)
角山智 日本実業出版社
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