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こうした思い違いは、人生の中でもたくさんあるはず。僕は、この思い違いをしていたおかげで、人生、だいぶ損をしました。人はいったんそう思い込むと、それが自分に染みつき、普段はまったく意識しないまま自動的に思い込みにコントロールされてしまいます。本当は違う選択肢もあるはずなのに、それが見えなくなってしまう。これが「もののみかた」なのです。
現代の私たちには、たくさんの災難が降りかかります。仕事でお客さんとトラブルになったり、自分が認められなかったり。はたまた彼女と別れてしまったり、親が倒れてしまったり……。そんなとき、「あー、俺ってついてない」とそのままにしていませんか? その出来事をプラスに変えるのがこの「もののみかた」であり、この本の目的です。
実際、これまでの僕の人生には、たくさんのピンチや問題が降りかかってきました。でも、そのつど、「ん、待てよ、これをどうしたらチャンスに変えていけるだろう」そう考えて、うまくいかないことや災難を、自分のプラスに変えてきました。
〜中略〜
「そうか、どんなことが起きても、それをプラスにする“もののみかた”を見つければいいんだ」これに気づいてから、僕はいっさい現実に振り回されなくなりました。お客様を怒らせてしまっても、講演の依頼が一時期パッタリと途絶えても、一日にふたつの失業を経験しても、すべてをいいことに変えることができるようになりました。
つまり、何が起きるかは問題じゃない。起きたことにどう意味をつけるか、それこそが自分の人生を決めるんです。
僕が「もののみかた」をテーマに全国で講演をはじめてから五年あまりがたちます。この本では、そんな僕が気づいた「もののみかた」を書いてみました。少しでも皆さんのお役に立てたら幸いです。
第2章 コンプレックスは資格や学歴よりつかえる
第3章 うまくいかないほうが道が開ける
第4章 600万円より時給千円の仕事がいい
第5章 常識って間違っている!
第6章 自分に都合よく考える
仕事を選ぶとき、給料の高さだけで選んではいませんか。僕が会社を辞める年の年俸は600万円。そして、そのあとしばらくお世話になった会社の時給は千円。一日働いても六千円くらいです。20日でも12万。×12ヵ月で144万円。それまでの約五分の一。でも、僕にとっては時給千円のほうがはるかに魅力がありました。それは、時給千円の仕事のほうが、自分の夢につながっていたからです。
給料の高い仕事に就けると、それだけで自分が高く評価されたような気になりますが、それが本当に自分の満足につながるのでしょうか。僕にとっては、600万円は安定、千円は可能性の象徴でした。
600万円もらえば、これまでの自分を正当化できるし、いまの生活レベルも維持できる。IT業界にとどまっていれば、先行きもまあ安泰だろう。でも、そこに居続けることで、どこかで我慢をしなくてはいけない。一方、時給千円のほうは、金額としては確かに少ない。でも、新しい環境で働くことで、新たな発見があるかもしれない。嫌い上司の言うことを聞かなくてもいいし、共感できない会社の方針に従わなくてもいい。売りたくないものは売らなくてもいい。そう思ったら、すごくワクワクしてきたのです。
フリーランスの生活は、毎日が綱渡りです。来月の収入はゼロかもしれないし、退職金だってない。年金もサラリーマンに比べると薄いですから、自分で何とかするしかない。将来のことを考えると、確かに不安です。
でも、安定と自分の可能性。この二つを天秤にかけたとき、僕は自分の可能性にかけてみたかった。「だって、ひょっとしたら、自分はダイヤモンドの原石かもしれない」。だからそれを試さないで、一生を終わるのはもったいないと思ったのです。
僕は、自分のルールで、自分の感性で、思いっきりわがままに生きてみたい。人に価値を決められたくない。そこだけは譲れなかったので、独立という道を選びました。自分で納得して選んだこの道、まったく後悔はありません。
※本商品は「なぜ、逃げた犬は追ってはいけないのか」(こう書房刊 川村透著 ISBN:978-4-7696-0926-1 192頁 1,260円(税込))をオーディオ化したものです。
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