出来高と価格とローソク足のパターンの組み合わせて、いつ仕掛けるのか、今は待つべき時期なのか、ビッグプレーヤーがもうアキュミュレーション(買い集め)し始めているのか、あるいはディストリビューション(売り抜け)をしている時期なのかについて、詳細にだれにでもよく分かるように解説している。
本書のセクション1とセクション3では見開きで、左ページに週足チャートを、右ページに月足チャートを配置して、その仕掛けが正しかったのかが一目瞭然で分かるようになっている。
また、出来高と価格動向や値動き(プライスアクション)とともに、ローソク足のパターンを基本として、市場のこれからの方向性や、価格はどの程度動くのか、その上方向や下方向の動きは本物なのかを判断する手がかりにしているので、日本人には非常に馴染みやすい戦略であり、戦術となっている。
本書を完璧にマスターすれば、5分足であろうが、1時間足であろうが、日足や週足や月足であろうが、いろんな時間枠に対応できるようになるので、長期トレーダーや長期投資家だけでなく、短期トレーダーにも本書の刊行は朗報となるだろう。
出来高・価格分析は、伝説的トレーダーであるジェシー・リバモアやリチャード・ワイコフが使用し、莫大な資産を築いてきたテクニックである。この1世紀以上にわたって欧米で培われてきた手法と日本のローソク足パターンの合体は、日本の読者がまさに求めていたもので、日本だけで前著がロングセラーになっていることからでも明らかである。
Stock Trading & Investing Using Volume Price Analysis : Over 200 worked examples by Anna Coulling
セクション1――そのあと何が起こったか
2016年に個人トレーダーと投資家向けに行ったプレゼンテーションのなかで紹介した株式の週足チャートと、それを2017年の終わりまで示した月足チャートを見ていく。すべての銘柄はアメリカの主要な市場のなかから選んだものだ。
セクション2――株式の月足チャート
アメリカ市場の株式の月足チャートに焦点を当てる。
セクション3――その他の市場で、その後、何が起こったか
ここで紹介するチャートは2016年にロンドンで個人トレーダーと投資家向けに行ったプレゼンテーションからのもので、セクション1とセクション2とは違うコモディティ、株価指数、債券、通貨先物市場について見ていく。セクション1と同様、週足チャートと月足チャートを比較しながら見ていく。
セクション4――日足チャートでのトレード
株式に焦点を当てるが、ここでは日足チャートについて見ていく。
セクション5――投機市場
最後のこのセクションではコモディティ、債券、指数、通貨先物の日足チャートの例を見ていく。
おわりに
一般に市場価格の動きと出来高との関係は非線形であり、簡単なモデル式で記述することはできない。そして、すでに出来高の変化を市場の理解に役立てている実務者ですら、その知識は認知的暗黙知の形で頭の中にとどまっており、明示的かつ体系的にそれを示すことはかなり難しい。したがって、この分野を学ぼうとする者は、実際に数多くのパターンに接して帰納的にルールを学ぶしかない。本書はその学習を大いに助けることになるだろう。
さて、クーリングによる解説は前著に引き続き、「市場は大口投資家によって操作されている」という前提で行われている。それゆえ、時としてその主観的な理解による文章はエキセントリックな表現を伴うことになり、それが読み手に違和感を与えることがあるかもしれない。だが、出来高の解釈はもともと客観的な科学ではなく、それだけで市場の動きをすべて包括的にとらえられると思うのは早計である。これはあくまで市場で生き残るための智恵や手掛りの1つであり、優れたヒューリスティクスとして使うべきものだ(また、本書における術語の使い方もかなり曖昧なものだが、個人投資家の書き手にそのあたりの精緻さを求めるのは酷と言うものだ。大目に見るべきだろう)。(続きを読む)
出来高・価格分析の世界へようこそ。本書を堪能し、役立ったと思ってくれたら、私にとってそれほどうれしいことはない。本書を読む目的はいろいろあると思う。このアプローチに対する知識を補強することが目的の人もいれば、まったく新たな概念や手法として取り入れることが目的の人もいるだろう。
本書の目的は、長期の週足チャートや月足チャートから短期の日足チャートまでいろいろなチャートと、いろいろな市場やいろいろな時間枠の実例を使って、できるだけ多くの出来高・価格分析の概念を提供することにある。本書ではいかなる種類のインディケーターも使わずに、出来高と価格との関係に焦点を当てている。ご存知のように、出来高・価格分析には支持線、抵抗線、ローソク足、ローソク足パターンも含まれるが、本書では出来高と価格との関係そのものに焦点を当てて、各実例はシンプルな説明を心掛けた。
また、このアプローチが長期スイングトレーダーや長期トレンドトレーダー、さらには長期投資家にも同じように適用できることを示したかった。事実、セクション1の例はS&P500を構成する株式の週足チャートから取り上げている。各ページには1つのチャートを提示し、その下にキーポイントを説明している。チャートは市場ごとまた時間枠ごとにグループ分けしているが、出来高・価格分析の概念はどんな市場やどんな時間枠にも当てはまる。したがって、週足チャートでの試しやアキュミュレーション(買い集め)やディストリビューション(売り抜け)の例を示していたら、その同じ原理は異なる市場の5分足チャートや時間足チャートにも同じように当てはまるということになる。
これらの実例をじっくり学んでもらいたいが、もしこのアプローチのことをご存じない方は私の最初の本『出来高・価格分析の完全ガイド』(パンローリング)を読んでもらいたい。同書ではこれらの概念やアイデアを詳しく説明しているので、同書を読めば本書の実例をより深く理解できると思う。
本書ではマーケットメーカー、インサイダー、ビッグオペレーターという言葉を使っているが、これらはすべて同じ意味である。つまり、市場を操作することができるインサイダーグループの人々という意味である。(続きを読む)
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